スーパーのオバチャン

この間、スーパーで早朝割引シールというものを配っていた。
一人1枚くれるのだが、大した割引率でもないのに、店内は
ものすごく込み合っていて、レジ待ちの行列も果てしない。

レジで待っていると、後ろからカートで押された。
前が進んでないのに、押したってしょうがないじゃん！！
カチンとして振り向くと、後ろのオバチャンがおしゃべりに
夢中になっていて、カートで私を押しているのに
気づいていないようだった。

わざとじゃないんだろうけど、押されるとやっぱりムカムカする。
気づいてもらえるように、軽くカートを腰で押し返してみたが
全然効果なし。
思い切って足でカートのキャスター部分を蹴ってみたけど、
おしゃべりに夢中で全然、まったく、1ミクロンも気づかない。

もういいや・・・諦めて押されるままになっていると・・・

「ちょっと、アンタ！シール足りてないじゃない！？」

はっ？と振り向くと、後ろのオバチャンが余ったシールを
私につきつけて
「これ、使いなさい！」

・・・いや、間に合ってますから・・・と断ろうとすると、

「あんた、真面目に一人1枚なんかもらってちゃダメよ。
こういう時は最低2枚はもらわないとね。ほら、私は
もうシール余ってるから、これ使いなさい！20円引きよ！」

おばちゃんは私の買ったものを指差し
「これとこれにシールを貼りなさい」と命令し、
さらに一人1枚のシールを2枚以上もらう裏技を伝授し、
その上、レジで私の番になると、レジ係の人に
「この人のビール、シールないけど割引してあげて！」
と、私が頼んでもいないのに、勝手に割引してもらっていた。
（レジ係はオバチャンの友達なんだそうだ）

結局、オバチャンの力で、総計200円の割引になった。

「あんた、良かったわねぇ〜！！」

オバチャンは耳元のリアルなヒトデのピアスを
ゆらゆらさせながら、ニカっと笑った。
ジャガー横田にそっくりだ・・・と思いつつ、
私はオバチャンに丁寧にお礼を言った。

カートで押されて嫌なオバチャンだと思ったけど、
なんかいい人だったんだなぁ・・・と、ちょっと
心がホッコリあたたかくなった。

でも、あのリアルヒトデのピアス・・・
どこで売っていたんだろう。